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CTC検査(微量流路デバイス法)

検査の概要

難治性の4種類のガン表面マーカーを測定可能な新型のCTC(Circulating Tumor Cells;循環腫瘍細胞)検査として、微小流路デバイス法によるCTC検査の受付を会員医師の医療機関向けに、2021年5月中旬に開始しました。

以下の4種類の新型CTC検査を以下の価格で予定しています。

  • 微小流路デバイス法CTC検査+進行ガンPD-L1マーカー測定(税別20万円;税込22万円)
  • 微小流路デバイス法CTC検査+乳ガンHER2マーカー測定(税別20万円;税込22万円)
  • 微小流路デバイス法CTC検査+前立腺ガンAR-V7マーカー測定(税別20万円;税込22万円)
  • 微小流路デバイス法CTC検査+転移ガンVimentinマーカー測定(税別20万円;税込22万円)

CTC検査とは

CTC検査は、日本以外の先進国では医療の現場で世界的に普及している血液検査です。ガン治療中またはガン発症前の検査用として、血液中を循環しているガン細胞を「直接」検出する検査方法です。米国ではセルサーチ法というガン細胞にマーカー(標識=目印)を付けて、血中に流れるガン細胞を測るCTC検査がFDA(米食品医薬品局)によりガン診断に有効な血液検査として承認されています。

CTC検査は、現状5mm以上でないとガンを発見できないCTやMRIといった画像検査より早期の段階で、「微細なガン」の発見が可能であり、超早期のガン発症・再発・転移の予見に有効と考えられています。

今回、日本先進医療臨床研究会が受付を開始するCTC検査は「微小流路デバイス法」(Microfluidic Chip)という新方式で、これまでのセルサーチ法の欠点を補うために開発された検査法です。微小流路デバイス法によるCTC検査は、米国セルシー社とジョンズ・ホプキンス医科大学、及び日本遺伝子研究所の共同研究で開発されたCTC検査で、ガン細胞にマーカーを付けず、ガン細胞を56,000個以上の微小な穴を空けたデバイスに通すことで、ガン細胞を「直接」補足する検査方法です。

従来法との比較では、「セルサーチ法」がCTC(血中を循環するガン細胞)の捕捉率約61%のところ、「微小流路デバイス法」では90%以上の確率でCTCを捕捉でき、きわめて高感度であることが示されています。

手術をする前にガン表面マーカー(PD-L1、HER2、AR-V7、Vimentin)を測定可能

微小流路デバイス法によるCTC検査は、血中を流れるガン細胞を直接補足するので、ガン細胞の数を測るだけでなく、補足したガン細胞の表面マーカーを調べる事が可能です。これまでは手術後または細胞診といってガン組織を採取して行うしか方法がなかったガン細胞の表面マーカーの測定が、CTC検査を行う事で手術や細胞診の前に、外来で血液採取をするだけで、手軽に行う事が出来る様になりました。

CTC検査でガン細胞を補足し、ガン細胞の表面に発現しているマーカーを調べる事が出来れば、治療戦略を立てる際の有用な情報が得られます。特に、乳ガン・前立腺ガン・直腸ガンなど人の尊厳に大きく関わる部位の手術や、胃ガン・肺ガン・膵臓ガン・腎臓ガンなど術後のQOLに大きく影響する手術などの場合、多くの人が臓器を切り取る治療の選択には躊躇いがあります。また近年の研究では手術や細胞診などでガン腫瘍組織に傷をつける事で、ガン細胞が周囲に転移・拡散しやすい事が知られています。そのため手術前に有用な治療法の選択肢を提示できる可能性のあるCTC検査の普及は多くのガン患者にとって福音になると思われます。

ガン細胞は進行状況や病態などによってガン細胞表面に様々なマーカー(標識=目印)を発現しており、このマーカーを調べる事で治療に有効な多くの情報が得られます。今回実施を予定している新型CTC検査では、以下の4つのマーカーから1つを選択して表面マーカーを調べる測定が可能です。

進行性のガンに多く発現し、オプジーボやキイトルーダなど免疫チェックポイント阻害剤が開発されるまで難治性の進行ガンとされてきたガン細胞の表面に多く発現するPD-L1マーカー。抗アンドロゲン療法が効かず治療困難な前立腺ガンである去勢抵抗性前立腺ガンに多く発現するAR-V7(アドレナリン受容体バリアント7)。乳ガン全体の15~25%に発現し転移・再発が多い乳ガンに発現するHER2マーカー。そして、難治性ガンの最大要因である転移に特徴的に発現する間葉系転移ガン細胞のVimentinマーカー。これら4つから1つを選んで測ります。

★PD-L1マーカーは、ガン細胞がリンパ球など免疫細胞からの攻撃を避けるために、ガン細胞表面に発現するマーカーです。これまでPD-L1を細胞表面に持っているガンは非常に難治性である事が知られていましたが、免疫チェックポイント阻害剤の開発によって治療効果が改善しています。このタイプのガンには抗PD-1抗体薬や抗PD-L1抗体薬が有効であるため、CTC検査の結果によってPD-L1マーカーが陽性のガンであった場合、治療前の段階で抗PD-1抗体薬や抗PD-L1抗体薬を選択するという戦略が取れます。また治療後のCTC検査は抗PD-1抗体薬または抗PD-L1抗体薬の治療効果の判定材料となります。

現在、承認されている抗PD-1抗体薬と抗PD-L1抗体薬には、以下の様なものがあります。

※抗PD-1抗体(2020年10月時点)

  • オプジーボ:悪性黒色腫(術後補助療法)、非小細胞肺ガン(2次治療、1次治療・化学療法併用)、腎細胞ガン(カボメディクス併用)、ホジキンリンパ腫、頭頚部ガン、胃ガン(3次治療以降、1次治療・化学療法併用)、悪性胸膜中皮腫、食道ガン、MSI-High結腸・直腸ガンで適応。
  • キイトルーダ:悪性黒色腫(術後補助療法)、非小細胞肺ガン(化学療法併用、PD-L1低発現・単剤)、ホジキンリンパ腫、尿路上皮ガン、MSA-High固形ガン、腎細胞ガン(アキシチニブ併用)、頭頚部ガン(単剤/化学療法併用)、食道扁平上皮ガンで適応、トリプルネガティブ乳ガンで申請中。

※抗PD-L1抗体(2020年10月時点)

  • バベンチオ:メルケル細胞ガン、腎細胞ガン(アキシチニブ併用)で承認、尿路上皮ガンで申請中。
  • テセントリク:非小細胞肺ガン(2次治療、1次治療・化学療法併用)、進展型小細胞肺ガン、トリプルネガティブ乳ガン、肝細胞ガンで承認。
  • イミフィンジ:非小細胞肺ガン(ステージ3)で承認、進展型小細胞肺ガンで申請中。

★AR-V7が発現している前立腺ガンは抗アンドロゲン療法(エンザルタミドやアビラテロンなどの薬剤を使用した治療法)が効かない去勢抵抗性前立腺ガンである可能性が高い事が分かっています。そのためCTC検査でAR-V7陽性ガンと判明した場合、治療前から抗アンドロゲン療法以外の方法を選択するという戦略が取れます。またPD-L1マーカーを追加して測った結果によっては抗PD-1抗体薬または抗PD-L1抗体薬を選択するという戦略も取れます。なお治療後のCTC検査結果は治療効果の判定材料となります。

★HER2(ハーツ―)は乳ガン全体の約15~25%で発現しており、難治性で転移・再発が早いガンである事が知られています。しかし現在はHER2タンパクを標的とする分子標的薬(ハーセプチンなど)が登場し、治療効果が改善しています。CTC検査によってHER2陽性が確認された乳ガンに対しては高い効果が期待される分子標的薬(ハーセプチンなど)を使用するという治療戦略が取れます。またPD-L1マーカーを追加して測った結果によっては抗PD-1抗体薬または抗PD-L1抗体薬を選択するという戦略も取れます。そして前立腺ガンと同様、治療後のCTC検査結果は治療効果の判定材料となります。

★Vimentin(ビメンチン)は、ガン悪性化の最大要因とも言われるガン転移で高発現するマーカーです。ご存じの通りガンは最初に発生した原発巣から周囲組織に広がる「浸潤(しんじゅん)」や、リンパ節・他臓器への転移によって病状が進行すると、手術・放射線治療の適応ではなくなり、残る治療手段は薬物療法のみとなります。この転移という現象に深く関わるのが「上皮間葉転換(Epithelial-Mesenchymal Transition;EMT変換)」という現象です。そしてガン細胞が移動能力を持つようになるEMT変換のプロセスにおいて、Vimentinは有効なマーカーであり、多くのガンにおいてVimentinの測定はガンの転移・治療の指標となっています。

CTC検査によってVimentin陽性が確認されたガンは、すでに体内で転移が始まっている可能性が高い事が分かっています。そこで手術や放射線治療と組み合わせて薬物療法などを実施し、体内の転移ガンを掃討するという治療戦略が立てられます。またPD-L1マーカーを追加して測った結果によっては抗PD-1抗体薬や抗PD-L1抗体薬を選択するという戦略も取れます。そして前立腺ガンや乳ガンと同様に、治療後のCTC検査結果は治療効果の判定材料となります。

こうした治療戦略の決定や効果測定の判定に有用な情報が得られるガン細胞の表面マーカーを上記4種類(PD-L1、HER2、AR-V7、Vimentin)から選択する検査が新型の微小流路デバイス法によるCTC検査です。

なお、現在測定可能なガンの表面マーカーは上記4種類ですが、臨床研究や論文報告などによって有用性が証明されたガン表面マーカーに関しては、今後も研究検査の一環として追加していく予定です。

難治性のガン治療に関しては、現在の自分自身の状態と、ガン細胞の状態を知る事が非常に重要です。その上でご自身に適合したオーダーメイドの治療法や対処法などを検討することが非常に大事です。

そこで日本先進医療臨床研究会では、難治性のガンに対して不安を感じている方たちに対して、新型の微小流路デバイス法によるCTC検査の受付窓口と相談窓口を開設致し、新型CTC検査の受診希望者に対しては、会員医師の医療機関をご紹介します。

その他の先端検査

なお、ガン治療時に有用な先端検査にはこの他にも、血中のリンパ球を測りCTL(細胞障害性T細胞=別名キラーT細胞)とTレグ(制御性T細胞)の比率を測る「リンパ球分画検査(税別5万円)」や、血中に流れるDNA濃度を測定する「セルフリーDNA検査(税別4.5万円)」などもあります。難治性疾患の治療には様々な検査を駆使し有効な治療法を選択する事が重要と考えます。

本検査に関するお問い合わせ先

一般社団法人 日本先進医療臨床研究会
TEL : 03-5542-1597(受付時間:平日10:00~17:00) FAX : 03-4333-0803
Mail: info@jscsf.org
公式サイト:https://jscsf.org

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【ガン/がん/癌】について

日本では腫瘍を表す表記法として固形腫瘍を意味する「癌」や、白血病やリンパ腫など血液系の腫瘍を含む「がん」などの表記が一般的ですが、当会ではこれま
で知られていなかった浸潤・転移する恐いガンと浸潤・転移をしない問題の少ないガン(欧米で「偽ガン(医学用語idle)」と呼ばれ日本で「がんもどき」と呼ばれる積極的な治療を必要とせず経過観察の対象となる腫瘍)まで含めて「ガン」という表記を使用しています。そこでこのサイトでも(「がんセンター」などの固有名詞を除き)新しい表記法である「ガン」を使って表記したいと思います。

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