研究名称
水素が有用と報告された各種疾患に対して、水素風呂(入浴用水素発生器)を用いた治癒・改善の多施設共同研究
研究の概要
2007年以前、水素は不活性分子で哺乳類細胞内では機能を持ち得ないと考えられてきました。ところが2007年に、日本医科大学の太田教授らがNature Medicine誌に発表した論文で分子状水素が酸化力の高いラジカルとだけ反応し、これらを消去する事を示して従来の概念を覆し、水素が疾病予防や治療に応用できる可能性を提唱しました。
水素が酸化ストレスに対して細胞防御機能を有することが発表されて以来、主にモデル動物を用いて水素の治療効果や予防効果が調べられ、現在までに400以上の論文が発表されており、臓器で酸化ストレスが関与する疾患モデルに対して水素の効果がある事が示され、水素の抗炎症作用、抗アレルギー作用、エネルギー代謝活性作用などが示され、ヒトを対象とした臨床試験論文も数十報を超えています。
そこで当会では、水素が有用と報告された以下の疾患(炎症・自己免疫疾患(関節リウマチ)、肥満、血液透析・腎炎・膀胱炎、循環器障害・心筋梗塞・脳梗塞、放射線障害、神経変性疾患・パーキンソン病・軽度認知症、ガン・増殖性疾患、感染症・敗血症、代謝異常・メタボ・糖尿病、皮膚疾患(エリトマトーデス)、神経・筋疾患(ミトコンドリア病)、潰瘍、アトピー性皮膚炎などの疾患に対して、水素分子を発生する入浴用機器を用いて、実際の治療(臨床)における症例報告を集積し、治癒・改善に関する多施設共同研究を行うことにしました。
研究の背景、意義と必要性
認知症のうち、約半数はアルツハイマー型認知症で、次に多いのがレビー小体型認知症、そして血管性認知症と続きます。これらは「三大認知症」といわれ、全体の約85%を占めています。残りの15%の認知症の中には治るタイプの認知症もありますが、通常、認知症は一度発症したら治癒する事は難しく、悪化させないよう現状維持するのが精一杯といわれています。厚生労働省の2015年1月の発表によると、日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。認知症の前段階とされる「軽度認知障害(MCI: mild cognitive impairment)」と推計される約400万人を合わせると、高齢者の約4人に1人が認知症あるいはその予備群ということになります。医療機関を受診して認知症と診断された人だけでもこの数字ですから、症状はすでに出ているのにまだ受診していない人も含めると、患者数はもっと増えていくと考えられます。
アトピーは「奇妙な」という意味のギリシャ語「アトポス」に由来するアレルギー疾患で、先進国では21世紀までに過去30年にわたり小児アトピー性疾患(喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻結膜炎)が増加してきており大きな問題となっています。またアレルギー性疾患とアトピー性疾患の関連は十分に証明されており、アトピーと多くのアレルギー疾患は同じ取り組みで治癒・改善が望めるのではないかと考えられています。
現在、認知症や、アトピー及びアレルギー疾患に対する標準的な治療法は薬剤治療が中心ですが、これらの標準的な治療法だけでは、認知症もアトピー及びアレルギー疾患も治癒する事は難しい現状です。
そこでこれら標準的な治療法を補完して治癒・改善効果を増大出来るような治療法や、標準的な治療法に替わって治癒・改善を目指せるような効果的な治療法が求められています。当会ではこれまで治療では試してこなかった様々な治療素材を使用し、実際の臨床で治療を行った症例報告の集積から、効果的な治療法を見つけられるのではないか、と考えています。
本研究の目的
こうした状況を受けて当会では、標準治療と先端医療及び補完代替医療を組み合わせた統合医療の推進によって、認知症や、アトピー及びアレルギー疾患の罹患率の減少を目指します。そして最終的には、これら疾患を根治できる治療法の確立と、発病させない予防・先制医療の確立をめざします。
研究対象者(適格条件と除外条件)
下記の適格条件を全て満たし、除外条件のいずれにも該当しない患者を対象とします。
適格条件
- 認知症(軽度認知症含む)、うつ、その他精神疾患、アトピー性皮膚炎、皮膚疾患、アレルギー疾患、花粉症、高血圧、低体温、糖尿病、その他水素が有用と報告された疾患、と診断を受けた患者
- 未治療の患者。または標準治療で現在治療中の患者。または標準治療で改善せず現在治療を受けていない患者。または標準治療で改善せず現在補完代替療法など自由診療で治療中の患者
- 治療を受けて現在寛解しているが、再発の兆候がある患者
- 一般状態が良好(Performance Statusが0~2)である患者
【参考】ECOG_のPerformance_Status_PS__C_150_0050 - 本研究の参加にあたり十分な説明を受けた後、十分な理解の上、患者本人の自由意思による文書同意が得られた患者
- 5歳以上、80歳以下の患者(※80歳超であっても年齢相応以上に元気な患者は適格とする場合があります)
除外条件
- 本研究の研究素材に対してアレルギーの既往のある患者
- 重篤な活動性感染症を有する患者
- 治療を要する重篤な精神障害を有する患者
- 酸素非投与での動脈血酸素飽和度が94%未満の患者
- 透析を必要とする腎障害患者
- 妊婦あるいは妊娠している可能性のある患者および授乳中の患者
- その他、主治医が不適当と判断した患者
説明、同意取得の方法
本研究に参加する各施設の倫理審査委員会等で承認の得られた説明文書・同意文書を研究対象者に渡し、文書および口頭による十分な説明を行い、研究対象者の自由意思による同意を文書で得ます。未成年者に関しては、代諾者でのインフォームドコンセント(文書および口頭による十分な説明を行い、研究対象者の自由意思による同意を文書で得ること、以下、「IC」という。)を行います。
未成年者等が研究対象者のとき、代諾者の他に本人へ説明を行い、賛意を得る行為をインフォームド・アセント(以下、「IA」という。)といい、本研究では、出来る限りIAを行います。研究者等、又は既存試料・情報を提供するものが代諾者から IC を受けた場合、研究対象者が研究実施されることにみずから意向を表せると判断できるときは、対象となる未成年者からもICを受けるようにします。研究対象者が研究実施、継続の全部または一部に対して拒否の意向を示したときにはその意向を尊重するように努めます。
研究の方法
- 研究の種類・デザイン:治療の積み上げによる観察研究(症例報告=ケーススタディ)
- 研究のアウトライン:
(1)研究への参加希望者を募集し、参加希望者に、自己負担で有償試験(問診、血液検査、尿検査、皮膚写真撮影、長谷川式認知テスト、MMSE、ほか)を受けて頂き、適格条件・除外条件を判定します。
(2)研究対象者を選定し、選ばれた研究対象者に対して、最低3か月間、研究素材(入浴用水素発生器)を使用して水素ガスが発生している浴槽に1日1回以上、1回10分間(但し体調により入浴時間は調整してください)、入浴して頂きます。
(3)治療期間中はプロトコル(入浴指導)に沿い、毎月1回、及びプロトコル終了後に通院し、一般検査と自己負担で有償試験(問診、血液検査、尿検査、皮膚写真撮影、長谷川式認知テスト、MMSEなど)を受けて頂きます。研究素材の投与終了時には、終了後2週間以内に、効果測定の検査を行います。
(4)またCTCAE4.0による抗ガン剤の副作用の判定、SF36(Ver.2)またはEQ-5DによるQOL尺度の判定、被験者自己申告、医師所見などで、副作用の低減に関して効果測定を行い、治療効果の判定に関してはCR(治癒・著効)/PR(部分寛解)/SD(不変)/PD(悪化)の4段階で評価・判定し、臨床研究を完了したもののプロトコル適応不十分な症例はNE(評価不能)、プロトコル逸脱または途中脱落症例はNA(適用除外)で効果判定を行います。
※なお、NEはN数に含めますが、NAはN数に含めません。 - 研究対象者の試験参加予定期間:1クール3か月で効果を評価します。
- 試験薬の用法・用量、投与期間投与量・投与方法および投与期間等:水素を発生するレンタル機器(水素風呂)による 入浴時の水素呼吸、水素経皮吸収。
- 試験薬の剤形・含有量、性状、包装、表示、貯法:気体(水素)
- 併用薬(療法)に関する規定:特にありません。
評価項目
- 主要評価項目(Primary Endpoint):
認知症、軽度認知症(MCI)、うつ、その他精神疾患、アトピー性皮膚炎、皮膚疾患、アレルギー疾患、花粉症、高血圧、低体温、糖尿病、その他水素が有用と報告された疾患の治癒・改善の指標による効果判定。(認知症、軽度認知症(MCI)などは長谷川式またはMMSE、アトピー性皮膚炎に関しては血清 TARC 値、血清IgE 値、LDH 値、末梢血好酸球数の測定などによって判定。
※CR(治癒・著効)/PR(部分寛解)/SD(不変)/PD(悪化)の4段階で評価・判定し、臨床研究を完了したもののプロトコル適応不十分な症例はNE(評価不能)、プロトコル逸脱または途中脱落症例はNA(適用除外)で効果判定を行います。
※なお、NEはN数に含めますが、NAはN数に含めません。 - 副次的な評価項目(Secondary Endpoint):
その他の症状、状態の出現
医師所見、患者自己申告、一般血液検査、一般尿検査、SF36(Ver.2)またはEQ-5DによるQOL尺度の判定など)、など - 安全性評価項目:
(CTCE4.0に準拠して)有害事象の出現
費用負担、健康被害の補償
研究対象者による費用負担(有償):
本研究に関しては、検査料・診察料に加えて、研究素材の製品代が、研究対象者の自己負担で必要となります。費用は、研究素材(入浴用水素発生器リタライフ2)=初期費用7000円+税、月額レンタル代3500円+税)×使用月数分が掛かります。
本研究の期間中や終了後に何か気になる症状が現れましたら、担当医師まで申し出て下さい。金銭的な補償はありませんが、通常の診療と同様に適切に対処いたします。その際の医療費は自己負担となりますが、通常あなたが加入している健康保険が使用されますので、自費分をご負担いただくことになります。
本研究への参加を希望しない場合でも、あなたには標準的な治療法を選択する権利があります。また標準的な治療法が存在しない難治性の疾患であっても、国内外で効果や有効性が報告された治療法や臨床研究が存在する可能性もあります。詳しい情報は担当医師または事務局までお尋ねください。
研究資金源と利益相反
本研究は、研究対象者の自己負担による症例積み上げによる観察研究であり、メーカーによる資金的な援助はありません。そのため、利益相反に関する報告はありません。
研究組織
研究代表者 :(兵庫医科大学教授)後藤章暢先生(兵庫)
研究副代表者:(よろずクリニック院長)萬憲彰先生(鳥取)
ほか
研究対象者および関係者からの相談への対応(窓口)
一般社団法人 日本先進医療臨床研究会(JSCSF)水素風呂研究部会
(Japan Society of Clinical Study for Frontier-Medicine(JSCSF))
【事務局】〒103-0028 東京都中央区八重洲1-8-17新槇町ビル6F
TEL:03-5542-1597 FAX:03-4333-0803(電話受付:平日10時~17時)
ホームページ:https://jscsf.org/
参考文献、参考資料
研究の注意事項
本研究に参加をご希望の方は、下記の注意事項をよくお読みの上お申込み、またはお問合せください。
- 特にありません。
資料ダウンロード
- 2009-分子状水素の臨床応用に向けた研究の現状について_市原正智先生_他2名_
- 2010_2016-水素水の研究_医療_健康分野の学術文献紹介_
- 2010-抗酸化物質としての水素分子_水素医学_の期待と展望_藤田慶大先生_
- 2011-水素分子医学の現状と展望_大澤郁郎先生_
- 2012-水素分子の生理作用と水素水による疾患防御_大澤郁郎先生_
- 2014-慢性疾患のカギを握る脂質メディエーター
- 2015-Beneficial_biological_effects_and_the_underlying_mechanisms_of_molecular_hydrogen_-_comprehensive_rev
- 2015-水素医学の創始_展開_今後の可能性_太田成男先生_
- 2016-Clinical_Effects_of_Hydrogen_Administration__From_Animal_and_Human_Diseases_to_Exercise_Medicine
- 2016-分子状水素が遺伝子発現を制御するメカニズムの解明_太田成男先生_
- 入浴用水素発生器を用いた臨床研究-20180505
- 研究協力施設登録申込書
臨床研究参加申込フォーム
※日本先進医療臨床研究会に未参加の医師は本臨床研究を行うことはできません。
まずはこちらのページより、日本先進医療臨床研究会への参加をお願いします。